上海発の便が欠航すると、全額払い戻しか無料の振替が受けられます。 でも原因が台風なら、その夜のホテル代は自分持ち。
台風で上海発の便が欠航した場合、全額払い戻しか無料振替は受けられますが、その夜のホテル代は自分で払うことになります。この線引きは、2017年1月1日から施行されているCAAC(中国民用航空局)の規則「航班正常管理规定」にそのまま書かれています。機材の故障、乗務員の不足、スケジュールの混乱など、航空会社側の原因なら食事と宿泊は航空会社持ち。一方、天候、航空管制、保安上の理由、緊急事態が原因の場合、航空会社は部屋の手配を手伝ってくれるだけで、費用はこちらの負担です。
こうした事態がいちばん起きやすいのは、夏の終わりの台風シーズンと、中国のゴールデンウィーク(大型連休)の前後。台風ひとつ、連休の混雑ひとつで、欠航がまとめて出ます。以下のルールは2026年8月時点のものなので、次の出発前にぜひ保存しておいてください。
台風シーズンになるたびに、このことを思い知らされます。2026年8月9日と10日には台風「ドルフィン」で浦東と虹橋あわせて943便が欠航し、運航能力は40%近く落ちました。7月には台風「バービー」で浦東だけで683便が欠航しています。カウンターも、そこで交わされる会話も、毎回同じ。結局いちばん出費を抑えられるのは、最初にどの書類をもらえばいいか知っている人なんです。
お金は戻ってくる?
戻ってきます。中国の「航班正常管理规定」(CAACが2017年から施行している規則)の第27条では、出発便が遅延または欠航した場合、航空会社は航空券の運送約款に沿って払い戻しか無料振替に対応しなければならないと定められています。欠航なら選択肢はシンプルで、未使用区間を取消手数料なしで払い戻すか、変更手数料なしで次に空いている便に乗るか、のどちらかです。

選ぶ前に、決めておきたいことが2つあります。
- 台風のときは払い戻しより振替を。ほかの人がみんな払い戻して買い直すので、座席から先になくなります。払い戻しを選ぶと、今夜は使い道のない現金を手に、長い列の最後尾に並ぶことになります。
- 欠航した区間だけでなく、旅程まるごと払い戻しを。欠航区間がなくなって残りの行程に意味がなくなるなら、そうはっきり伝えてください。係員は目の前の区間だけを処理しがちです。
航空会社ではなくTrip.com、Ctrip、Fliggyなどの予約サイト経由で買った場合は、その予約サイトを通して手続きします。予約サイトの窓口は航空会社とは別の列です。両方に電話して、先につながった方で進めましょう。
ホテル代は誰が払う?
台風による欠航なら、あなたです。第29条は宿泊の扱いを4つのケースに分けていて、その差はけっこうな金額になります。
- 航空会社側の原因(整備、機材繰り、乗務員):航空会社が食事と宿泊を提供します。
- 天候・台風、航空管制、保安上の理由、または乗客側の原因:航空会社は食事と部屋の手配を手伝うだけで、費用は自己負担です。
- 経由地での欠航は、理由を問わず:航空会社が食事と宿泊を提供します。
- ダイバート(备降、目的地以外の空港への着陸)は、理由を問わず:航空会社が食事と宿泊を提供します。
最後の2つは、ほとんど誰も請求していないのに、実はかなり役に立ちます。台風で南京や杭州にダイバートした場合、原因はもう関係ありません。天候が理由でも、ダイバートなら部屋代は航空会社の負担です。カウンターで落ち着いてそう伝えましょう。
第30条により、障がいのある人、高齢者、妊娠中の人、同伴者のいない子どもが優先されます。一緒に旅している人が該当するなら、遠慮して後ろで待つ必要はありません。
まだ機内にいる場合は?駐機場での遅延には独自のルールがあり、多くの人が思っているより厳しめです。航空会社は30分ごとに遅延の原因と見込み時間を知らせなければなりません(第33条)。2時間以上になれば飲み水と食べ物を提供する義務があります(第34条)。3時間以上たっても出発時刻が確定しない場合は、安全と保安が許す限り乗客を降機させなければならず(第35条)、その間トイレも使える状態を保つ必要があります。これは好意ではなく義務です。3時間を過ぎても何のアナウンスもなければ、客室乗務員に第35条にもとづく降機を直接求め、求めた時刻をメモしておきましょう。

空港を出る前に、この書類だけはもらっておく
第27条には、乗客から求められた場合、航空会社は遅延や欠航を証明する書面をすみやかに発行しなければならない、とも書かれています。中国語では「航班延误证明」(遅延証明)または「航班取消证明」(欠航証明)。必ず頼みましょう。
この一枚があるだけで、散々な一夜が「請求できる出費」に変わります。旅行保険もクレジットカード付帯の旅行保険も、ほとんどの場合、運航トラブルとその理由を示す書類を求めてきます。何週間もたってから航空会社の海外サービスセンターに発行してもらうのは、まだ画面に自分の便が表示されているうちに目の前のカウンターでもらうより、ずっと大変です。書類の写真を撮り、自分の便が出ている出発案内板も撮影してから空港を離れましょう。ホテルや食事の領収書も取っておいてください。天候による欠航では航空会社は払い戻してくれませんが、保険会社なら払ってくれるかもしれません。
どこで待つ?まず無料エリア、次にラウンジ
台風による欠航では快適さも自己負担なので、まずは無料の選択肢から。浦東空港は2025年、足止めされた乗客向けに無料の夜間休憩エリアを8か所開設しました。1分(フェン)でも使う前に、インフォメーションで一番近い場所を聞いてみてください。また、天候ではなく航空会社側の原因による欠航なら、航空会社が休憩エリアやラウンジを無料で開放してくれることもあります。だからこそ、最初に向かうのは航空会社のカウンターです。

ちゃんとした座席と静けさ、温かい食事がほしいなら、有料ラウンジがあります。ビジネスクラスの航空券も事前予約もいりません。
- まずクレジットカードを確認。プラチナ以上のカードや、Priority PassやDragonPass(龙腾)が付いた海外発行カードの多くには、年に決まった回数の無料ラウンジ利用が含まれています。自腹で払う前に、カードのアプリを開いてみましょう。
- 入口かアプリで支払う。ほとんどのラウンジはその場で1回利用を販売していて、Ctrip(携程)、Fliggy(飞猪)、Priority Pass、DragonPassでも単発の利用券が買えます。ラウンジによって、だいたい100〜250元(約14〜35米ドル)です。
- レストラン経由という手も。ターミナルによっては、提携レストランで一定額以上使うとラウンジも利用できます。どうせ食事をするなら、こちらの方が安上がり。その日どのレストランが対象か、ラウンジの受付で聞いてみてください。
時間についてひとつ。ラウンジは通常、出発の2〜3時間前から入れますが、長い遅延のときはこの枠がゆるくなります。早すぎるだろうと決めつけず、まず聞いてみましょう。
深夜2時に空港を出るには
振替の列がはけるずっと前に地下鉄は終わってしまいます。ただ、こちらに有利なルールがひとつあります。第41条では、夜間に大規模な遅延が発生した場合、空港管理者が空港バスの運行時間延長を調整するよう定めています。もう終わったと思い込まず、インフォメーションでバスが待機しているか聞いてみてください。

それ以外だと、台風中のDidiのサージ料金は本当に高くてつらいですし、大雨の日はドライバーが空港行きの配車をキャンセルしがちです。浦東で足止めされた場合の現実的な移動手段とそれぞれのおおよその費用は、浦東・虹橋空港アクセスガイドにまとめています。空港閉鎖が2日目に入ったら、飛行機が飛べなくても高速鉄道は動いていることが多いので、もう一泊ホテルを取る前に12306での予約を試してみる価値があります。空港ホテル以外で待つ場所を探すなら、上海のどこに泊まるかのガイドでエリアごとに紹介しています。台風そのものに備えて計画を立てたい人は、上海の台風シーズンガイドで警報の種類と、レベルごとに何が閉まるかを解説しています。
実際にどう動くか
まず決めるのは、振替か払い戻しか。どうしてもこの日までに移動しなければならないなら、今すぐカウンターで振替をして、払い戻しはあとで。座席は払い戻しの処理よりずっと早く消えていきます。日程に融通がきくなら、払い戻しを受けて台風が過ぎてから買い直しましょう。運賃も落ち着きますし、振替便まで欠航するリスクも避けられます。欠航ではなくダイバートだった場合は、自分で部屋を取る前に第29条にもとづいて宿泊を請求してください。旅行保険に入っているなら、ほかに何を決めるにしても、ターミナルを出る前に欠航証明書をもらっておくこと。そして1枚の通し航空券で国際線に乗り継ぐ予定なら、それを最初にカウンターで伝えましょう。通し航空券なら航空会社には先の目的地まで運ぶ義務がありますが、別々に買った航空券ならその義務はありません。
そのうえで苦情を申し立てるなら、まず航空会社か空港に。規則上、最初に対応する責任があるのは彼らで、期限も決められています。第44条から第46条により、苦情を受け付けたら7日以内に受理を通知し、中国本土の航空会社・空港・予約サイトなら10日以内、海外の航空会社や香港・マカオ・台湾の航空会社なら20日以内に、中身のある回答をしなければなりません。中国で運航する海外の航空会社は、中国語での苦情にも対応できる体制が必要です。
返事がない、あるいは役に立たない返事だったら?中国民用航空局にエスカレーションしましょう。サービス品質監督ホットラインは12326で、まさにこうした用途のために2019年に開設されました。上海からはそのままダイヤルし、ほかの地域からは市外局番をつけてかけます。www.caacca.cnから書面で申し立てることもでき、ここでは自分の便の欠航理由として公式に記録されている内容を確認できます。航空会社の説明と保険会社の求める条件が食い違うときに役立ちます。苦情の記録は少なくとも2年間保存されるので、そのときは無駄に思えても、書面でのやりとりを残しておきましょう。
『淮南子』に「塞翁失马,焉知非福」という言葉があります。老人が馬を失ったけれど、それが幸いでなかったと誰に言えるだろう、という意味です。欠航は搭乗口で感じるほどの大惨事であることはめったになく、ときには自分では選ばなかったのに、ずっと覚えておきたくなる一夜をくれることもあります。
よくある質問
中国にもEUのような欠航時の現金補償はありますか?
ありません。ヨーロッパのように乗客1人あたりの補償額が法律で決まっているわけではありません。中国のルールは払い戻し、無料振替、そして誰の責任かによって変わるケアの義務が中心です。天候による欠航なら、お金は戻ってきて振替の列に並べますが、補償金の小切手はもらえません。
自分の便の公式な欠航理由はどうやって調べられますか?
中国民用航空局の消費者向けサイトwww.caacca.cnで、遅延や欠航の記録上の原因を確認できます。保険は原因によって支払われたり支払われなかったりしますし、カウンターでの説明が正式に記録された内容と同じとは限らないので、確認しておく意味があります。
欠航したのに、航空会社から「空港でないと対応できない」と言われました。責任はどちらにありますか?
払い戻し、振替、証明書の発行は航空会社の責任です。空港管理者が担当するのは、ターミナル内のサービス、医療支援、大規模遅延時の空港バス延長運行などです。たらい回しにされているなら、航空会社に対して苦情を申し立て、あとは当局に任せましょう。
台風のあと、ホテル代を航空会社に請求できますか?
出発地で天候を理由に欠航したのであれば、規則上はできません。例外はダイバートと経由地での欠航で、この場合は原因を問わず航空会社が宿泊を提供します。それ以外のケースは旅行保険で取り戻すのが現実的で、だからこそ欠航証明書がとても大切なんです。
払い戻しがカードに戻るまで、実際どのくらいかかりますか?
処理期間は規則で決まっているわけではなく、航空会社や予約サイトごとの基準によります。また、海外発行のカードは中国のカードより時間がかかります。払い戻しの受付番号は控えておき、数週間たっても入金がなければ、同じホットラインにかけ直すより、7日・10日の苦情対応期限を使うタイミングです。



