中国のKビザは、雇用主も内定も招へい状も不要で申請できる初めての入国ビザで、対象は若手の科学技術人材です。 2025年10月1日に始まりました。
ざっくり言うと。中国のKビザは、中国側の雇用主も、内定も、招へい状もなしで申請できる初めての入国ビザで、対象は若手の科学技術人材です。2025年10月1日に運用が始まりました。ただし気をつけたいのは、これが入国と交流のためのビザであって就労許可ではないこと。これ一枚で給与の出る仕事に就けるわけではありませんし、年齢制限を含め細かい部分の多くはまだ文書になっていません。ここでは本当に確定していることと、そうでないことを整理します。
知っておきたいこと
- 向いている人雇用主も内定も招へい状もない状態で、まず中国に入ってみたい若手の理工系卒業生や研究者。
- かかる費用国籍によって変わる通常の相互主義ビザ料金だけで、スポンサー料や紹介料はかかりません。「Kビザ取得保証」をうたって費用を請求する業者には用心してください。
- 上手に使うコツ就労許可ではなく、人脈づくりや面接のための入り口だと考えること。給与の出る仕事に就く前に、きちんとZビザと就労許可証を用意しましょう。
Kビザとは、結局どんなビザ?
Kビザは、国務院令第814号によって「外国人出入境管理条例」が改正され、中国の一般ビザ制度に新しく加わった区分です。2025年8月に公布され、同年10月1日に施行されました。目的は、海外の若手科学技術人材が中国に来て交流や協力に参加しやすくすることだとされています。
本当に新しいのは、そして話題になった理由は、公式の文言にあります。Kビザの申請には、中国国内の雇用主や機関による招へいが必要ないのです。中国に入るほかの就労系ルートは、どれも中国側のスポンサーから始まります。これだけは違います。計画を立てるうえで押さえておきたい、確定した決定的な違いです。
実際に申請できるのは誰?

公式の条文では、申請者は関係当局が定める要件を満たす必要があるとされ、当局はその入り口として大きく二つを挙げています。認められた大学や研究機関でSTEM分野の学士以上を取得していること、あるいはそうした機関でSTEM分野の教育や研究に従事していることです。平たく言えば、理学・工学・技術・数学系の若手卒業生と研究者が対象です。
ただし、その先は慎重に。細かい条件が公表されていないからです。
- 年齢。条文は「若手」とあるだけで、数字は示されていません。各在外公館はおおむね18歳から45歳程度という非公式の目安を使っていると報じられていますが、これは領事実務であって法令ではなく、報道によって振れもあります。年齢の数字はすべて非公式だと考えてください。
- 対象になる大学と分野。認められた大学の一覧も、対象となるSTEM分野の限定リストも公表されていません。自分の学位や分野が該当するかどうかは、いまのところ個別判断です。
Kビザで実際に働けるの?

ここがいちばん誤解されるところなので、正直にお答えします。それだけでは働けません。Kビザは入国と交流のためのビザであって、就労許可ではないからです。公式の条文が認めているのは、教育・文化・科学技術の交流と、起業やビジネスの活動です。給与をもらって雇われる許可に変わるものではありません。
中国企業に就職したいのであれば、2026年に入ってからも入管の専門家の見方は一致しています。従来どおり雇用主が取得する就労許可証、そして地元の公安局出入境管理部門が出す居留許可が必要で、これはZ就労ビザとまったく同じです。正直に整理すると、Kビザはスポンサーなしで入国して動き回り、人と会い、何かを始め、研究交流をするためのもので、給与明細を受け取る資格ではありません。
ZビザやRビザと何が違う?
この三つは本当によく混同されます。一行ずつで違いを整理します。
| ビザ | 対象になる人 | 注意点 |
|---|---|---|
| Z(就労) | 中国での内定がある人 | 申請前に雇用主と就労許可証が必要 |
| R(高度人材) | 認定された高度人材や不足人材 | 要件を満たす招へいや認定はやはり必要 |
| K(若手STEM) | 若手の科学技術系卒業生と研究者(法令上の年齢制限はなく、領事館では18歳から45歳程度が非公式に挙げられる) | 申請にスポンサーは不要。ただし就労資格そのものではなく、有効期間や滞在日数も未公表 |
Kビザは国務院令第814号に基づき2025年10月1日に施行されました。中国はKビザの発給件数を個別に公表していないため、以下の数字は全種類を含む外国人向け発給ビザの総数です。
| 2024年 | 中国の一方的な30日間ビザ免除は2024年11月30日に始まりました。 | 260万件 |
| 2025年 | 202万件 | |
| 2026年(1月から6月) | 99万件 |
出典:国家移民管理局。2025年には3,008万人の外国人がビザなしで入国し、全入国者の約73パーセントを占めました。Kビザは別集計されていません。2026年8月時点。
申請の流れと、まだはっきりしないこと

申請はほかのビザと同じく、国外の中国大使館や領事館と、中国ビザ申請サービスセンターを通して行います。具体的な条件は各大使館・領事館のサイトに掲載されると国務院は説明しました。ただ実際には、2026年8月時点でもK専用のチェックリストを出していない公館が多く、案内の充実度には差があります。とはいえ進んでいる都市もあり、上海はKビザの専用案内を公表している場所のひとつなので、上海で動く申請者はほかより手がかりが多い状況です。
渡航者がいちばん知りたいことのいくつかは、公表されたルールのどこにも定まっていません。ネットで見かける自信満々の数字は、そのまま信じないでください。
- 有効期間、入国回数、滞在できる日数。公式発表は、Kビザが入国回数・有効期間・滞在の面でほかの区分より便利だとするだけで、数字は示していません。2026年半ば時点で、入管の専門家は最長5年のマルチビザ、1回あたり最長180日の滞在、初回は2年から3年といった数字をよく挙げますが、これは専門家の見立てと領事実務であって、公表された法令ではありません。どの数字も暫定と考え、発給されたら自分のビザに印字された条件を確認してください。
- 必要書類のリスト。よく挙げられる一式(パスポート、申請書、写真、STEM分野の学位証明または研究職の在職証明、履歴書)は専門家がまとめたもので、統一の公式リストとして公表されたものではありません。
- 中心になるルールブック。施行から1年近く経ちますが、権威ある要件ガイドは1本も出ていません。
実務的な結論はこうです。枠組みは確定、運用の細部はまだ柔らかい。申請する予定の公館に正確な要件を確認し、上海に関することは転載記事ではなく上海市出入境管理局に確認してください。実際に来て滞在するなら、すべての訪問者に適用される24時間以内の派出所への届け出も忘れずに。
出典 · 参考資料
- 中華人民共和国国務院 · 中华人民共和国国务院「中華人民共和国外国人出入境管理条例の改正に関する決定」(国務院令第814号、2025年、2025年10月1日施行)。若手科学技術人材向けのKビザを新設した決定です。english.www.gov.cn
- 中華人民共和国公安部 · 中华人民共和国公安部、改正後の「中華人民共和国外国人出入境管理条例」全文(国務院令第814号、2025年)。Kビザの区分と要件を定めています。mps.gov.cn
- 国家移民管理局 · 国家移民管理局、出入境管理条例の改正に関する国務院決定と新しいKビザについての公式Q&A(2025年)。nia.gov.cn
- 本記事は公式情報をもとにした一般的な案内で、法務や入管の助言ではありません。Kビザの要件と申請ルールはまだ運用が固まっていく段階なので、申請前に国家移民管理局または中国の大使館・領事館で最新の要件をご確認ください。
孫子の言葉はビザの窓口でもよく効きます。知己知彼,百战不殆、相手を知り自分を知れば危うくない。どの扉が自分のものか分かるまでルールを読めば、書類仕事は怖くなくなります。
よくある質問
Kビザに内定は必要ですか?
いりません。むしろそこがこのビザの肝です。公式ルールは、Kビザの申請に中国の雇用主や機関による招へいを必要としないと定めています。若手STEM人材としての自分の資格だけで申請できます。
Kビザで中国企業に就職できますか?
Kビザだけでは就職できません。これは入国と交流のためのビザで、就労許可ではないからです。給与の出る仕事に就くには、Zビザと同じように雇用主がスポンサーになる就労許可証と居留許可が必要です。Kビザが向いているのは、交流や研究、起業、そしてスポンサーなしで可能性を探ることです。
Kビザに年齢制限はありますか?
条文には「若手」とあるだけで、数字はありません。各領事館はおおむね18歳から45歳程度という非公式の目安を使っていると報じられていますが、公表された制限ではなく実務上の運用なので、申請先の領事館で確認してください。
Kビザはいつ始まりましたか?
国務院令第814号に基づき、2025年10月1日に施行されました。すでに運用中ですが、領事館レベルの案内は2026年に入っても地域差があります。
Kビザと就労ビザはどう違いますか?
Z就労ビザは、申請前に中国の雇用主と内定、就労許可証が必要です。Kビザは申請にそのどれも要りませんが、雇われる権利は与えられません。Kビザは入るための扉、就労許可は仕事に就くための別のステップだと考えてください。



